銅板金屋根の特徴
銅は非常に優れた性質を持つ金属です。その特性を活かすことで耐久性が高く、見た目にも美しい屋根を形作る事ができます。 しかし、良い面ばかりではありません。 銅板金の屋根を検討する上でのメリットとデメリットをしっかりと把握しておくことがとても大切です。日本で最も多い「ねんど瓦」
屋根材として大きく
日本瓦
セメント瓦
アスファルトシングル
金属屋根
に分類されます。
日本の場合、屋根材として「ねんど瓦」が最も多く利用されています。ねんど瓦の歴史は奈良時代あたりから始まったと言われています。当時の屋根は檜皮葺きが主流で、雨や火に弱く、耐久性も極めて低いものでした。ねんど瓦は耐久性に優れ、当時の技術でも大量生産が可能であったことなどから屋根材の主流として広まったとされています。
屋根材の材質別耐用年数比較表
参照元:東京理科大学/星野昌一研究所
※上記は過去の研究に基づくデータのため現在の内容とは異なる可能性があります。
※現在はそれぞれに様々な新しい技術や製品があり上記の通りとは限りません
銅板金屋根の特徴
他の素材に比べて非常に軽く、軽量な屋根を作ることができる
瓦屋根の約1/10の重さ
近年では太陽光発電パネルを屋根上に設置することも一般的となってきましたが、太陽光パネルは非常に重く、従来の施工方法では屋根の荷重が大きくなりすぎる懸念がありますが、金属屋根の場合は耐久性もあり通常の瓦屋根と比べて1/10以下程度の重さなので設計、建築の幅が広がります。
屋根材の種類 | 1㎡辺りの重さ |
---|---|
銅板 | 4.5~5㎏ |
日本瓦 | 48㎏ |
セメント瓦 | 42㎏ |
スレート瓦 | 18㎏ |
ファイバーシングル | 12㎏ |
ジンカリウム鋼板 | 7㎏ |
ステンレス | 5㎏ |
使用する銅板の厚みや役物によって重量は変動しますが、銅板屋根は特に軽い金属のステンレスと同程度の軽さです。屋根が軽く仕上がるということで、建物としての耐震性がアップして地震の揺れも少なく済みます。地震の多い日本で建物を立てる際に、耐震性能は最も大切です。耐震性能は建築基準法で厳密に定められていますが、一般住宅においては耐震等級が目安になります。
屋根の軽さは耐震性能に大きく関わります
- 耐震等級1
一般の建物全てが該当し、建築基準法に定められた耐震性能となります。 百年に一度程度発生する地震(およそ震度6~7、阪神淡路大震災クラス)に対して倒壊、崩壊しない強度を持ち、数十年に一度程度発生する地震(およそ震度5)に対して損傷しない強度を持ちます。
- 耐震等級2
耐震等級1に対して、1.25倍の耐震強度があることを示す等級です。 学校や病院など避難所として使用できる程度の耐震性能をもちます。
- 耐震等級3
耐震等級1に対して、1.5倍の耐震強度があることを示す等級です。 消防署や警察署など防災の起点となる建物の基準です。
耐震等級3の住宅の場合、地震保険が割引されたり金利の優遇処置があるなどのメリットもありますが、なによりも地震に対する備えができる事は大きなメリットです。耐震等級を定める上で屋根は非常に重要なや要素となっており、軽量な銅板金屋根を採用することで間取りを広くしたり建築コストを下げる事ができるようになります。
火や水に強く、耐久性のある屋根を作ることができる
銅は火や水に強い素材です。銅の融点は1084.5C°ですが、これはアルミの2倍近い温度で鉄よりも500C°低い温度です。また銅板金の屋根は軒先まで銅板で覆う事例も多く、屋根全体を銅板金で覆った場合には、火事などの際に表面の銅板が内部の野地板や垂木などの構造を火の粉から守る役割を果たします。関東大震災後に立てられた建築物には銅板金屋根や銅を壁材としたものが数多く現存しています。
腐食しにくく水に強い
銅の特性として、表面に酸化膜などを形成して、不動態化することで素材全体が腐食することを防ぐ性質があります。四季があり寒暖の差がある日本では屋根材は高温と低温を繰り返し、雨や風にさらされる過酷な環境にあります。熱に強く耐水性能が高い銅は屋根材としては非常に優れていると言われています。
加工しやすい性質を活かし美しい屋根を作ることができます。
銅は非常に加工のしやすい金属のため、様々な屋根の形に合わせた施工が可能です施工が可能です。
雨水の通り道になる「谷」と呼ばれる部分も柔軟に対応できるため、雨漏りの心配も少ない屋根を作ることができます。
独特な風合いが高級感と趣の屋根を作り出します。
緑青とは ~銅特有の保護被膜~
緑青(ろくしょう)とは、銅の錆の一種で、この緑青が銅板屋根に発生することで、被膜が表面を覆います。緑青には、他の金属のように錆を中まで浸透させないように銅板自体を守る働きがあります。これは、ほかの金属屋根などに比べて塗装などを必要としないすぐれた特性といえます。
緑青 ~銅の持つ自然の風合い~
緑青は時間をかけて銅板を少しずつ酸化させ被膜を作っていきます。この過程で銅板の色合いは徐々に変化していき、最終的には日本伝統の美しい色に変わります。
しっかりと長い年月をかけて緑青色に変化した銅は大変美しく、風景によくなじみます。 新しい銅板の黄金のような光沢は約1ヶ月でなくなります。 東京の神田にありますニコライ堂の屋根も、もともとは赤褐色でしたが10年くらいの年月を経て美しい緑青色に変化しました。