その他の銅鈑金技術

雨樋

雨の多い日本では、雨樋をはじめとした雨仕舞は建築を考える上で最も重要です。近年では集中ゲリラ豪雨など一気に大量の雨が降ることも珍しくありません。また、住環境を考える上でも雨をはじめとした排水環境は、雑菌や害虫の発生源となり大切なことだと言えます。

銅製の雨樋のメリットとデメリット

銅は非常に耐久力が高い素材です。銅製の雨樋のメリットとデメリットをご紹介します。

  • 塩ビの樋に比べ耐久性が高い
  • 銅素材の持つ抗菌効果でナメクジやカタツムリ、蚊、コバエなど害虫や、匂いの発生を抑える
  • 美しい造形と経年の色の変化を楽しむことができる

銅の雨樋の耐久性

「銅の雨樋は100年もつ」と言われてきました。塩ビなどに比べて耐久性が非常に高い銅ですが、酸性雨窓の影響もあり銅製雨樋に穴が開く事例も多くなっています。特に瓦屋根や腰ぶきの屋根に銅製の雨樋を取り付ける場合など、雨が一カ所にまとまって落ちる傾向があり、水が落ちる部分がどうしても減耗したり腐食することがあります。このような場合にはステンレス製の樋に銅を熱圧着させた銅メッキの雨樋を使用したり、水が落ちるカ所をステンレスなどで補強することで耐久性を高めることが可能です。

銅雨樋の美しさ

銅は経年とともに表面に錆が発生し、表面の錆が内部を守ります。この時に表面が緑青色に変色していきます。数か月から数年かけて色合いが変化し、最終的には非常に落ち着いた「銅特有の色」へと落ち着き、耐久性が増すとともに日本の家屋に優雅な印象をもたらします。 また、加工がしやすい銅ならではの意匠を凝らした集水桝や呼び樋など和風建築における重要なパーツと言えます。

銅の抗菌作用

いまから100年以上前の1893年(明治26年)スイスの植物学者 ネーゲリーが「微量金属作用」というものを発見しました。微量金属作用とは、水などに溶け出した僅かな量の金属イオンが細菌類のはたらきを抑える効果があるというものです。近年ではコロナウイルスが流行した際にも銅の抗菌作用が注目されました。昔から医療機関で銅製の医療機器が多く使用されているのは銅が加工しやすく抗菌作用が高いことに由来しています。また図のように、銅管が大腸菌の繁殖を抑えるだけではなく減菌作用があることも実証されているなど非常に高い抗菌作用を持っていることが特徴です持っていることが特徴です。銅の水盤にはボウフラが発生しないとも言われています。コバエやナメクジなどの生物も銅イオンを嫌う性質があり、排水管から害虫を予防することが可能です。

抗菌作用

参考資料:(財)東京顕微鏡院と食品・環境科学センター(厚生大臣指定検査機関)