素材としての銅の魅力

銅の特性

軽くて加工のしやすい銅の建材(建物の素材)としての歴史は非常に古く、紀元前5000~紀元前3000年ごろ人類が初めて手にした金属が銅であったと言われています。その後、シュメール人が銅(融点:1083℃)に錫(融点:232℃)を混ぜた青銅の技術を発見し、人類の金属加工の技術が進化していくことになります。現存する最古の銅建材としては、紀元前2750年ころ製造された、エジプト・アプシル神殿の銅製給水管の一部がベルリン博物館に所蔵されています。 また、世界最初の水道といわれるローマ水道(アッピア水道)にも銅(青銅)は水栓、ポンプ、弁などに使われていました。

ローマ水道

紀元前より加工しやすい銅は水道施設などで使用されていました。

青銅器

銅は人類が初めて加工した金属とも呼ばれ、青銅器など日本にも数多く現存しています

徳川義直

げ国内に現存する最も古い銅板金屋根は、愛知県瀬戸市の重要文化財重要文化財「源敬公(徳川義直)廟 竜の門」と言われています。

なぜ銅だったのか

様々な素材として銅は柔らかく加工がしやすい金属です

彫刻や彫金、屋根など、銅を素材として使用する場合するの特徴として、非常に柔らかく加工がしやすい点があげられます。加工技術の拙い時代には、柔らかく加工のしやすい銅は最も身近な金属でした。

素材として鉄よりも耐腐食性があります

金属が劣化する要因の一つに腐食があります。金属原子の持つ自由電子(e-)がイオン化することで酸素原子や水素原子と結びつき酸化を引き起こすのが腐食(錆)です。銅は全ての金属の中でも金や銀、パラジウムなどと並び、腐食しにくい金属です。また緑青(ろくしょう)と呼ばれる銅特有の表面の錆が全体の腐蝕を防ぐため、建材として使用した際に非常に高い耐久性を持ちます。このことが自由の女神の台座や鎌倉の大仏、銅製の仏像など非常に多くの銅建築が現存している大きな理由です。

抗菌作用が非常に高い特徴がある素材です。

銅には、水などに溶けだしたごくわずかな量の金属イオンで細菌類のはたらきを抑える「微量金属作用」が備わっています。そのため、微生物による金属劣化(微生物腐食)を防ぎ雑菌や微生物の繁殖を抑える効果があります。そのため10円玉をはじめ、1円、5円、50円、100円、500円と全ての硬貨で銅が使われています。建材としても細菌や微生物の繁殖は建物の劣化を促進する要因となりますが、銅を素材として使用することにより細菌や微生物から建物を守ることができます。

銅の特徴と他金属との比較
銅板 アルミ 亜鉛鉄板 ステンレス
基本重量(Kg/mm・m²) 8.94 2.70 7.86 7.93
熱膨張率(mm/100m/℃) 1.7 2.4 1.2 1.7
熱伝導率(W/m・℃) 385 138 54 16
比熱(J/g・℃) 0.38 0.96 0.48 .0.50
降伏点(N/mm²) 12 7 21 20
ヤング率(100³N/mm²) 12 7 21 20
引張強さ(N/mm²) 245 245 343 588
せん断抵抗(N/mm²) 196 98 294 490
硬さ(Hv) 75 75 100 150
※参考資料:銅板屋根構法マニュアル(社団法人 日本銅センター)